吉本ばなな(幻冬舎)
哲学ホラーというジャンルらしい。
第一話を読んでからもう二年近く経つのに、
屍人やら霊やらが出てくるそのホラーな世界に
あっという間に引き戻されてしまった。
そして「どんぶり」がどう物語全体を貫いているのか楽しみに読んでいくと、
やはり期待は裏切られなかった。
比べるまでもないけど、
食べ物ブームに乗っかった本たちとは一線を画す作品でした。
第三話「ざしきわらし」も楽しみです。
うっとりとそう言う母を見て「人ってなにで目が覚めるのか読めないな、だから意図して他の人がなにかをしてあげたから、人が幸せになるっていうことは、ほんとうにないんだよなあ」と私はしみじみ思った。直感と偶然の中だけに流れがあり、未来が生まれる。
そしてそれに至る道には、本人がどんなに力んでいても不器用でも人生の妙なる味がある。
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