山崎ナオコーラ(誠文堂新光社)
本書はブスが自信を持ってより良く生きるためのハウツー本、ではない。
著者は自分がブスだと表明した上で、容姿や、性別や、
その他のカテゴライズによって生きづらさを感じている人たちにとって、
どのような社会であればよいかを正面から論じている。
痴漢の被害者がブスや男性の場合、化粧をしない自由、
報道における事件被害者の顔写真、ノンバイナリージェンダーなど、
きちんと目を向け、あるいは想像して考えたことがなかった存在を
改めて浮き彫りにしてくれていました。
知らなければ想像もできないことがある。
無意識にでもマイノリティや弱者を隅に追いやることなく、
そして、生きづらさを感じさせない社会を作っていきたい。
芸術は弱者のためにある、と私は思っている。
私は、常に弱者のことを考えたい。
弱者に寄り添いたい。
だが、それは、「自分は常に弱者だ」という考え方とは違う。
「自分自身が弱者の立場になっているシーンも確かにある。でも、別のシーンでは自分は弱者ではない。強者になってしまうこともある。だから、慎重に行動して、弱者の立場に配慮をしよう」と考える機会が増えた。
( 『第二十八回 強者の立場になってしまうこともあるという自覚』)
0コメント